骨材屋が家を建てたときに感じた「生コンの呼び強度」と見積もりの落とし穴

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家を建てるとき、キッチンや壁紙にはこだわっても、意外と気にしないのが「基礎に使うコンクリートの強度」です。

私は骨材(砂・砕石など)を扱う仕事をしているので、住宅の基礎で使われる生コンの品質にも少しこだわりました。

今回は、実際に「呼び強度」を標準の21Nから27Nに変更したときの実体験と、そこから見えた「費用の落とし穴(見積もりの真実)」を、現場目線でお話しします。

家を建てたとき、気になった「生コンの呼び強度」

住宅の基礎に使われる生コンは、一般的に「21N(ニュートン)」と呼ばれる強度のものが多いです。

この数字は圧縮強度(どれくらいの力に耐えられるか)を表しますが、実はもう一つ、家の寿命に関わる重要な意味を持っています。

【プロの視点】強度が上がると「寿命」が延びる理由

コンクリートはアルカリ性ですが、空気中の二酸化炭素に触れることで徐々に「中性化」し、中の鉄筋を錆びさせてしまいます。

  • 21N(標準): 一般的な住宅強度。
  • 27N・30N: 公共施設や中規模以上の建築物で採用されることも多い強度。

なぜ強度を上げると良いのか?

強度を上げると、「水セメント比」が小さくなり、コンクリートの密度が高まります。これにより、中性化の進行が遅くなり、結果として基礎の耐久年数(寿命)が大幅に延びるのです。

私の会社が骨材を納入している生コン工場からも、 「地盤の状況と、長く住むことを考えたら27Nのほうが安心ですよ」 と提案をもらい、変更を決意しました。

27Nに変更して良かったこと

  • 原価の差は小さい: 生コン単体の価格差は、1㎥あたり数百円〜千円程度です。
  • ひび割れリスクの軽減: 密度が高いため、乾燥収縮によるクラック(ひび割れ)が入りにくくなります。
  • 圧倒的な安心感: 基礎の中は見えませんが、「高耐久なコンクリートを使っている」という事実は、将来のメンテナンスを考える上で大きな安心材料になりました。

想定外だったのは「住宅メーカーの上乗せ額」

ここで、これから家を建てる方に知っておいてほしい「見積もりの落とし穴」があります。

生コン工場との調整は、骨材屋である私が直接対応しました。工場の原価を知っているだけに、最終的な住宅メーカーからの見積もりを見て愕然としました。

「工場での差額」の何倍もの金額が、上乗せされていたのです。

プロでも「高い!」と感じた手数料の正体

そのとき正直、「えっ、原価と違いすぎない!? そんなに取るの?」 と思いました。 いわゆる「管理調整費」や「変更手数料」という名目でしたが、原価を知っている身としては、どうしても割高に感じてしまいます。

もちろん、メーカー側にも「保証リスク」や「事務手続き」の手間があるのは理解できます。しかし、工場価格(原価)と現場価格(出し値)の間には、施主が想像する以上の「価格差」があるのが現実です。

これから家を建てる方は、「材料費の実費」だけでなく、こうした**「見えないメーカー経費」がかかることを覚悟しておいた方がよいでしょう。

なぜ金額が上がるのか?(業界の裏側)

最初は「手数料を取られた!」と思いましたが、冷静に考えると以下の理由があります。

  1. 管理調整費: 仕様を変更するための事務手数料。
  2. 責任の所在: 指定外の材料を使うことに対する、メーカー側の保証リスク。
  3. 構造計算の再確認: 強度を変えることで、設計上の数値確認が必要になるケース。

工場価格(原価)と現場価格(出し値)の間には、こうした「見えない管理コスト」が含まれることを、身をもって学びました。

これから家を建てる人へのアドバイス

1. 変更したいなら「設計段階」で相談する

着工直前に言うと、現場が混乱し、追加費用が高額になる可能性があります。契約前や設計段階で「基礎のコンクリート強度を上げたい」と相談しましょう。

2. 21Nでも問題はないが、27Nは「保険」

現在の建築基準法では21Nでも構造的に問題はありません。しかし、数万円〜十数万円の差額で「数十年先の耐久性」を買えると考えれば、27Nへの変更は非常にコスパの良い投資だと思います。

3. 見積もりの上乗せは「安心料」と割り切る

原価を知っていると高く感じるかもしれませんが、ハウスメーカーが保証してくれるための経費だと理解しておくと、納得しやすくなります。

※本記事は特定の住宅メーカーや工場を否定するものではなく、実体験をもとにした一般的な注意点の共有を目的としています。

おわりに

コンクリートは、家を支える“見えない土台”です。
仕上がってしまえば二度と見えない部分だからこそ、最初の判断が大切だと感じました。

27Nにして正解だったと思っていますが、同時に「請求書の現実」も学びました。

筆者プロフィール

この記事を書いた人:骨材屋のまさ

  • 骨材業界歴10年以上
  • 砕石・砂利・砂の調達と品質管理担当
  • 2級土木施工管理技士
  • 外構工事、トラック運搬の実務経験

現場で培った一次情報をもとに、「安全で失敗しない骨材選び」を発信しています。

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